1990年代のヒップホップは良く聞いていた。
オールドスクールと呼ばれた古いスタイルのヒップホップから、
ギャングスタに代表される新しいヒップホップが誕生し
色々なラッパーやスタイルが生まれた時代だ。
特にラップに言い回しの個性や
フロウ(ラップスタイルと説明すれば良いのかな?
ただリズムに合わせてラップするだけでなく、聴けば誰かすぐにわかる特徴的なラップ)
という概念ができて、
まさしくキレイな曲だけでなく、荒削りで攻撃的なラップは
若い自分の心を見事に刺激しまくっていた。
なんと言ってもその時代のスパースターは
「
2PAC」と「
ノートリアスB.I.G.」。
当時の西と東を代表する「ギャングスタ」だ。
ちなみにどちらも故人である。
その二人が亡くなった事件の真相というのは、
当時から色々噂されていたが、現在も未解決で謎のまま。
その辺りの経緯を当時の捜査官であった人物の手記が
出版され話題なっていたのだが(原題 「ラビリンス/ LAbyrinth」)
この度、それが
映画化される運びになったようである。
キャスティングなどはまだ明かされていない。
このかなり昔の話題を今さら
映画化するのは
やっぱりこの事件というのは、ドラマ性があるからなのだろう。
少し事件の概要を説明したい。
興味をもってくれる方がいれば、幸いだ。
その前にアメリカのギャングというものは、
すくなくとも日本のギャングやヤンキー(不良)とは
社会的背景もその性質も全く違うことを理解しておいてほしい。
長くなるので省くが、生きるためにギャングにならざる得ない若者が
沢山いるということは知っておいてほしい。
別にギャングを肯定している訳でもないことも。
貧民層の若者が「饒舌とセンス」を武器に注目され、
それをお金に変えることができる者達と手を組み、成り上がる「サクセスストーリー」を
実現化させたのが「2pac」と「b.i.g.」である。
2pacのスタイルを知るには、次の名曲が良いのだろう。
歌詞の意味も解るので、彼の生き様を知ることができる。
文字通り、このスタイルを貫き通して若くして逝ってしまった。
この跳ねるような感じのラップが2pacの特徴だ。
(字幕入りの動画を載せていたが、削除されてしまった。)
なので、別のを。
歌詞はyoutubeの概要欄に載っているので、是非とも見て欲しい⇒
youtube本サイトそれに対し、
b.i.g.の方はその声質とキャラ、ネチっこいラップが特徴。
彼らの後ろ盾をしたのが西の「デスロウ」と東の「バッドボーイ」というレーベルである。
どちらもギャングの幹部が絡んでいるのだが
「バッドボーイ」はセレブ色が強く、成金的なイメージが強いのに対して
「デスロウ」はまんま極悪集団がショウビジネスに乗り込んできたという感じである。
才能ある
2pacと
b.i.g.がお互いを認め、仲の良かった時代もあるのだが
両レーベルのしがらみと利権絡みのトラブルに巻き込まれていくことになる。
Source Awardsにおける「デスロウ」のボス、シュグ・ナイトによる
公式の場における宣戦布告を皮切りに、東西抗争が激化する。
結果、2pacは銃撃され重傷を負うが、奇跡的に生還。
襲撃の黒幕は東側だと判断し(真相は謎)
2pac自身も「バッドボーイ」およびb.i.g.に対する敵意をむき出しにしていく。
そして「Hit 'Em Up」では、露骨な実名による口撃をし、
似た人物を登場させ、思いっきりバカにしている。
日本語字幕がなくて残念だが、見事にコキ倒している。
一応、和訳しているサイトを見つけたので、一部抜粋して紹介します。
2pacがラップしている部分です。
[Verse 1 : 2Pac]
お前の要求を呑むのは、まずお前のbitchをFu@kしてからだな
ウェストサイドで車に乗る時は、ちゃんと武装しておけよ
お前はplayerぶってるが、俺はお前の女房と寝たんだぜ
Bad Boyのniggaども、一人も残さず息の根を止めてやる
Puffyは俺に会いたがってるようだが、ホントはビビッてんだろ
Biggie SmallsとJunior M.A.F.I.A.、それにアバズレども
お前らが身につけてる宝石に狙いを定めて攻め入ってやるぜ
アホ面こいてる連中にブッ放してやる、ルールはわかってるよな
Lil' Ceaser、どうやって俺に捨てられたか仲間に聞かせてやれよ
鼻をへし折られて、ボロボロにされた挙げ句消されそうになったとな
Lil' Kim、筋金入りの'G'をたぶらかすのは辞めとけよ
その目障りなケツを早く引っ込めろ
お前らとの歩み寄りなんてクソ食らえだ
これは命を賭けた闘いだって事を教えてやってるのさ
今夜はウェストサイドの俺達が主役だぜ、hahahah
滅茶苦茶なレコードで荒らしまわってるBad Boyの罪は重いぜ
俺にちょっかいを出したからには痛い目にあうぜ・・・わかってるな
[Verse 3 : 2Pac]
俺達のやり方を物陰からこっそりと見てな
まるで刑務所の鉄格子みたいに俺達は頑丈だろ
これはただのfreestyleバトルじゃないんだぜ
お前らniggaどもは大口を開けたまま息が絶えることになる
お前らは俺に刃向かうことをぼんやりと思い浮かべているんだろ
どうせヤクでハイになって、
ブッ飛ぶ術を身につけたと思い込んでるだけじゃないのか
だがお前らは俺にヤラれたmotherf@ckerどもさ、死んでもらうぜ
カネをガッポリ稼いでるだと、笑わせるな
腐りきったniggaどもが俺に手出しするとは可笑しくないか?
俺は自分の力だけで億万長者になったんだぜ
出所してからも銃を空中にブッ放してるのさ、haha
Biggie、昔は俺んちのカウチをベッド代わりに貸してやったよな
お前のために女まで手配してやったよな、hah
なのに今じゃ全身ヴェルサーチ・ファッションかい
挙げ句の果てに俺のスタイルまで真似しやがって
5発の銃弾じゃ俺を消せないぜ、俺は撃たれても薄ら笑いしてたろ
今度は俺が機関銃を構えて、お前にこの曲を叩きつけてやる番さ
今でも俺はお前が愛憎するThugだぜ
Motherf@ckerども、痛い目にあわせてやる
洋HIPHOP和訳wikiより
http://www36.atwiki.jp/gachmuch/pages/833.html
これに対し激怒した東側も対抗曲を発表しようとするが、
それを制したのはb.i.g.自身だという事実もある。
最終的に2pacは再び銃撃を受け、亡くなってしまい
その後b.i.g.も銃撃されなく亡くなってしまう。
両事件も未解決。
2pacが殺害されたことへの報復としてb.i.g.も殺害され
両陣営の広告塔が亡くなってしまうということで決着がついたかのように見えたが、
その真相は違うのではないか?というのは
当時から話題になっていた。
実は「デスロウ」は2pacとも利権絡みで揉めていて、
全ての黒幕はデスロウなのではないか?というのが
ここん所の通説になっている。
これにはロス市警の汚職とも深く関わっており、
その辺りを深く追求していったのが今回の映画化なのだ。
大分昔の話だが、当時の自分の興奮ぶりを思い出し
書き連ねてみた。
最後に2pacの名曲中の名曲を貼っておきます。
このイントロとサビは有名過ぎるので、
ヒップホップに興味のない方でも耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか?
R.I.P